こんにちは。
小説5巻はコミカライズ15巻に描かれていない内容を含んでいます。
後、ここから先はアニメ2期のネタバレになります。
ネタバレが苦手な人はご注意下さい。
魔王カリオンが治める獣王国ユーラザニアでは、大事件が起こっていました。
同じく魔王であるミリムが魔王間で結ばれていた協定を破棄し、カリオンに対し一週間後に国を滅ぼすと宣戦布告を行います。
普段のミリムらしくない様子にカリオンは不思議がりますが、全力で迎え撃つ事を決めます。
しかし全く歯が立たず、ミリムに協力していたフレイの不意打ちを受けて敗北。
その日は後に、獣人達から滅びの日と言われる事になります。
時間は大きく遡り。
ミュウランは再びクレイマンの命令でリムル達の調査を行っていました。
今回は魔物の国テンペストへ潜入するべく、英雄として名を挙げてきたヨウム達を利用して仲間に加わります。
しばらく共に過ごすうち、ヨウムに想いを告げられ戸惑うミュウラン。
彼女も少しずつヨウムに惹かれていきますが、魔王クレイマンに自分の心臓とヨウムの命を盾に取られ、その命令に従い続けるしかありませんでした。
ファルムス王国では魔物の国が誕生して以降、経済面に大きな変化がありました。
今まではドワーフ王国との取引を一手に引き受け、高い税金をかけて多額の収入を得ていましたが、冒険者や商人達がジュラの大森林にできた町に向かうようになってからは目に見えて税収が減少するようになります。
緊急会議が行われ、【王宮魔術師長ラーゼン】や【王立騎士団長フォルゲン】ら王の側近達と、二人の異世界人【ショウゴ・タグチ(田口省吾)】と【キョウヤ・タチバナ(橘恭弥)】が集められました。
このファルムス王国は観光と貿易で成り立っている国であり、その収益がテンペストに奪われた形になります。
圧倒的な武力を以って魔物達を討伐する事が可能、しかし戦争を勧めた事で責任を取りたくないと皆が内心考える中、【エドマリス王】と【レイヒム大司教】の間でわざとらしい会話が行われていきます。
「その国で我が国民が被害を受ければどうなる?」「その時は西方聖教会が責任を持って信徒の救援に向かうでしょう」と。
西方聖教会のお墨付きがあればその戦争は聖戦となります。
慎重な貴族二人からの反対があったものの、テンペストを掌中に収めた後の利益に目が眩んだ王は自ら戦に出ると宣言し、こうして魔物の国に最悪の日が迫るのでした。
まずは先遣部隊がテンペストに送り込まれます。
その中にはショウゴとキョウヤ、【キララ・ミズタニ(水谷希星)】の三人の異世界人も含まれていました。
召喚された異世界人達は反逆行為ができないよう【呪言】で縛られており、その事に不満を言いながらも馬車でテンペストを目指します。
その頃、ミュウランは特殊な大魔法を発動させるよう、クレイマンからの緊急連絡を受けていました。
その大魔法は半径5キロ圏内で魔法を使えなくする【魔法不能領域(アンチマジックエリア)】へと変えるものです。
指示された通りにひっそりと行動を起こしたミュウランですが、途中でグルーシスに呼び止められました。
ユーラザニアから「魔王ミリムに宣戦布告をされた」と連絡を受けており、そこへミュウランの様子が不自然だった為に問いただしていきます。
同じくミュウランの行動に気付いていたヨウムも加わります。
ヨウムは改めてミュウランに自分の想いを告げますが、彼女もヨウム達をクレイマンから守る為に指示された通り魔法の詠唱を始めました。
そうなればもうミュウランの命を奪うしか止める手段はありません。
立ち尽くす二人の前で、ミュウランはヨウムを想いながら呪文を紡いでいくのでした。
その頃、テンペストの幹部達は大混乱の中にありました。
一番の問題は数日前に報告された、「完全武装の人間がこちらに向かっている」との情報でした。
その後の調査で、その集団がファルムス王国所属であり、戦争の準備が行われていると判明します。
ベニマルがリムルに連絡しようとしたその時、獣王国のアルビスから緊急の魔法通話が入りました。
「一週間後に魔王ミリムとの交戦状態になる為、国民を避難民として受け入れて欲しい」との事です。
アルビスからの連絡を皮切りにテンペストの幹部達が招集され、速やかに緊急体制が採られました。
そうした状況の中、商人に変装したファルムス王国の一団がついにテンペストに到着したのでした。
騎士達と別行動をとる事にしたショウゴ、キョウヤ、キララ達は、たまたま近くを歩いていたゴブゾウをターゲットに騒ぎを起こしました。
キララのスキル【狂言師】によって、周囲にいる人物の意識に働きかけて「魔物の住人が人間を襲った」と自分達の都合のいいように状況を作り上げていきます。
しかし駆け付けたゴブタとシュナのおかげで誤解は解け、キララの能力も効果を失いますが、今度はショウゴとキョウヤが普段は抑圧されていた能力を解放し暴れ始めます。
シュナの護衛として付いてきたシオンと、シュナの警護をゴブゾウに任せたゴブタがそれぞれ異世界人達と戦闘状態に入り、戦いの火蓋が切って落とされました。
一方会議室に集まったベニマル達はリムルに【思念伝達】によって連絡を取ろうとしますが、結果は音信不通。
今までになかった事態に、その場が恐慌状態に陥ります。
それに追い打ちをかけるようにミュウランの大魔法が完成し、全ての魔法効果が打ち消された為に町全体が大混乱を起こしていました。
ミュウランの大魔法に上乗せするように【四方印封魔結界(プリズンフィールド)】が発動し、結界内の魔素が浄化されていきます。
魔物にとって活動力の源である魔素を奪われて苦しみ倒れる住民達、逃げ惑う商人、それを守ろうとする冒険者達。
この日、テンペストは未曾有の災禍に見舞われ、状況は一気に混沌としていくのでした。
リムルは周囲を覆っていた結界が解除された事を確認して、隠れていた場所から姿を現しました。
結界に囚われた時に咄嗟に分身体を生み出し、本体を逃がす事によってヒナタの攻撃から逃れていたのでした。
【拠点移動(ワープポータル)】でテンペストに戻ろうとしたリムルは、魔法が発動しないという異変に気付きます。
ミュウランの大魔法のせいで、全ての魔法効果が打ち消されているのでした。
封印の洞窟は結界の範囲外だったらしく、大慌てでそちらへ転移します。
ガビルやべスター、ソウエイ達と合流し、リムルはソウエイに結界の調査を任せて自分一人で町へと入りました。
結界内ではベニマル達がミュウランを捕らえようとしており、それを妨げているヨウム、グルーシスと交戦している状態でした。
リムルが制止した事でその場は収まりますが、彼らが何かを隠していると見抜き問い詰めます。
町の広場へ案内されたリムルは、そこに横たえられた百名ほどのテンペストの住民達の遺体を目にするのでした。
自分が元人間だったからこの世界の人間達とも仲良くしたいと思い、関係を持ちたがった自分のせいで大切な住民達が殺された。
そう自分自身を責めるリムル。
なんとか冷静さを取り戻し、会議室で情報の整理を行う事にしました。
最初の襲撃者ショウゴ達の元にファルムス王国の正規騎士団百名が駆け付け、ルミナス神の名の元にショウゴ達に加勢し、魔物の兵士どころか周囲で成り行きを見守っていた住民にまで手を出したと説明されます。
そして一週間以内に降伏しなければ、今度は根絶やしにすると言葉を残して行ったとも。
最後に魔王クレイマンに従って大魔法を展開したミュウランからも話を聞き終え、彼女の処分は後回しにしてヨウム達と共に宿屋に軟禁しました。
他国から訪れていた商人や冒険者は、ファルムス王国にとっては処分しておきたい都合の悪い目撃者になっています。
彼らを騎士達に傷付けさせない為に【空間移動】でブルムンド王国近郊まで送り届けた後、怪我人の看病をしているというシュナの応援に向かいました。
そして感じた違和感。
いつも騒々しくリムルに付いて回る彼女の姿がないのです。
ベニマルによって再び広場に案内され、リムルはそこに横たえられた者達の中にシオンの遺体を見つけるのでした。
襲撃から数日間、リムルは人払いをした広場から離れませんでした。
一人きりでずっと自問自答を繰り返し、それと同時進行で「大賢者」に今まで得た知識の中から死者蘇生の魔法がないか探させます。
しかし死者を蘇らせる魔法は見つからず、いつか蘇生の方法が見付かるその時まで自分の中で眠らせようとした時、接近してくるカバル達三人に気付きました。
そしてエレンから、死者が蘇った御伽噺があると教えられます。
ずっとずっと昔の、少女と竜の物語。
少女と共に暮らしていたペットの竜が殺され、唯一の友達を失った少女は手を下した国家を消滅させました。
数十万の人間の魂を得た少女は魔王へと進化します。
同時に少女と繋がっていた竜もまた彼女の進化に伴い、死んでいるにも関わらず進化しました。
しかし既に魂を失っていた竜はただ暴れるだけの怪物になっており、少女は嘆きながら竜を自らの手で封印するのでした。
その御伽噺の少女がミリムであり、実際にあった出来事が御伽噺として存在している以上、可能性は極小であるもののシオン達を蘇らせる事が可能ではないかとリムルは考えます。
シオン達の魂が結界内に留まっている可能性を「大賢者」で確認し、丁度こちらへ向かっているファルムス本軍を生贄に魔王に進化する決意を固めるのでした。
ベニマルに幹部達を集めるよう命じた後、リムルはヨウム達が滞在している宿屋へ向かいます。
「ミュウラン、お前には死んでもらう」
と告げ、妨害しようとするヨウムやグルーシスを糸で縛り上げて、ミュウランの心臓を手刀で貫きました。
力なく項垂れるミュウランでしたが、数秒後に戸惑った表情で目を開きます。
実はミュウランに埋め込まれていた【仮初の心臓】は盗聴機能を有しており、それによってクレイマンは盗聴を行いミュウランの報告以上の情報を得ていました。
リムルが手刀で胸を貫いた時に新しく与えた【疑似心臓】は問題なく作動を開始し、ミュウランはクレイマンの支配から逃れる事ができたのです。
仮初の心臓を外した時点で、クレイマンにはミュウランがリムルによって殺されたという誤った情報を与えられたのでした。
クレイマンから解放されたミュウランはヨウムの求愛に応え、ヨウムはミュウランを救ってくれた礼に改めてリムルに協力すると誓います。
そんなヨウムにリムルが頼んだのは、これから滅ぼすファルムス王国中枢の代わりに新しい国王としてヨウムを据える事でした。
幹部が集まったと知らせを受けて、リムルはヨウム達を連れて会議室へ向かいます。
勢揃いした幹部にシオン達を蘇らせると告げ、まずは今回の件でファルムス王国や人間に対する意見を聞いていきます。
「卑怯な不意打ちをした人間を許せない」「人間にもいいヤツがいるから一概に纏めてはいけない」などの意見が出ますが、それでも魔物達はリムルが望んだ人間との共存を真剣に考えてくれているのでした。
そしてリムルは、自分が元人間であり転生者であると告げます。
裏切者と言われる事を覚悟したカミングアウトでしたが、自分達の主はリムルに変わりなく、その言葉に付いていくとリグルドが代表して力強く宣言します。
人類が自分達魔物の国に対して牙をむくようなら制裁を、手を差し伸べてくる者には友好的に接し、今後長い時間をかけてゆっくりと良い関係を築けるよう目指していくと今後の方針を決めるのでした。
そしてファルムス王国に対しては、激怒しているのはリムルだけでなく皆が同じ気持ちでしたが、今回は自分で責任を取る為にも魔王に進化する為にもリムルは自分一人で相手をすると断言します。
町の四方に弱体化の結界を発生させている装置があるので、それらの破壊ををベニマル達に、シュナやミュウランにはシオン達の魂の拡散を防ぐ為に新たに結界を張る事を命じます。
この時点をもって、リムル達は敵の殲滅行動に移行するのでした。
東西南北に展開された結界の発生装置を、ベニマル達がそれぞれ破壊していきます。
東をベニマルが、南をガビル率いるドラゴニュート達が、北をソウエイとソーカ達が、残った西側にハクロウ、リグル、ゴブタ、ゲルドが向かいます。
西の街道はブルムンド王国へ繋がっており、テンペストから逃げ出してくる商人や冒険者を始末する為にショウゴ達が待機していました。
しかし商人達は既にリムルによってブルムンド王国近郊に送り届けられているので、誰一人通る事はありません。
そろそろショウゴの我慢が限界に達そうとした時、ハクロウ達がやってきて戦闘が開始されるのでした。
リグルとゴブタがスターウルフを駆って騎士達の連携を攪乱し、ゲルドはショウゴと、ハクロウはキョウヤと対峙します。
結界の力で弱ったハクロウを一度倒しているキョウヤは、余裕の表情でハクロウと向き合いました。
キョウヤはスキル【切断者】で偽の刀身を生み出しており、柄から射出された刀身を無数の見えない破片に変化させてハクロウを攻撃します。
「切断者」の見えない剣と【天眼】、【思考加速】の三つのスキルを使って戦うのがキョウヤの手でしたが、それを全て弾いたハクロウの額には天眼の上位スキルである第三の目【天空眼】が開眼していました。
それによってキョウヤの剣を躱して刀を一閃させ、首を一瞬で落としてみせます。
「思考加速」によって知覚速度を千倍に引き伸ばされていたキョウヤは、死ぬまでの数秒を永い時間として味わう事になるのでした。
ショウゴが繰り出す攻撃を、ゲルドはカリュブディスの鱗から作られた盾で完全に阻んでいました。
思うように攻撃が通らない事に苛立ったショウゴが素手で戦うよう吠えますが、ゲルドは全力を出す事が戦においての相手への礼儀だと返します。
ショウゴのスキル【乱暴者】の特殊効果【武器破壊】で一度は盾を砕いて見せましたが、ゲルドは【胃袋】に収納していた新品の盾を取り出して再び構えてみせます。
次々と攻撃を仕掛けていたショウゴは、ふと四肢への違和感を感じ、それがあっという間に激しい苦痛となって襲い掛かります。
腐食効果を持つ【混沌喰(カオスイーター)】でゲルドが攻撃に転じた為です。
その黄色い妖気はどんどんショウゴを侵食し、苦痛を与えていきます。
ショウゴが苦しんでいる時にキョウヤを倒したハクロウが現れ、キョウヤの首を投げつけました。
一気にパニックに陥ったショウゴは手足が腐るまま逃げ出し、目の前のテントに駆け込みます。
後を追ったゲルドとハクロウが見たのは、仲間であるはずのキララを手にかけ、新たなスキル【生存者】を身に付けたショウゴの姿でした。
「生存者」の能力【超速再生】で腐っていた体を回復させてショウゴは再びゲルドに挑みますが、多少死ににくくなった程度ではゲルドの敵ではなく、ショウゴは回復する速度を上回る攻撃によってあっさりと心が折れてしまいます。
ゲルドがショウゴにトドメを刺そうとした時、王宮魔術師長ラーゼンが現れショウゴを庇いました。
そのままショウゴを連れて消え去り、ラーゼンの実力を見破ったハクロウもそれを見逃し、西側の戦闘も間もなく終了します。
ショウゴを連れて本陣に戻ったラーゼンは、【憑依転生】の大魔法の準備にかかりました。
魔法によってショウゴの精神を破壊して乗り移り、新しい自分の体として使う事で更なる強さを得たのでした。
リムルが上空でファルムス軍の動向を見ていると、ベニマルから結界の魔法装置の破壊が成功したと報告が入ります。
準備が整ったリムルは、これよりファルムス国軍の殲滅にかかりました。
魔法での逃亡防止の為に「魔法不能領域」を作り出すと、大規模対人殺傷魔法を発動させます。
死ね!神の怒りに焼き貫かれて———【神之怒(メギド)】!!
天空から照射される光線を地上付近で反射させる事で、次々と騎士達を葬っていきます。
原理としては、虫眼鏡などの凸レンズで太陽光を極小の点に集めて対象を焼いていく事と同じ現象です。
水の精霊を変化させた水玉を操り、一瞬にして千人以上の兵士の命を奪っていきます。
一方的な殺戮を繰り返してあっという間に一万名以上の命を奪ったリムルは、更なる恐怖を与える為にゆっくりと地上に降り立ちました。
ラーゼンとフォルゲンが王の元に辿り着いた時には、既にエドマリス王は天幕の中で大司教レイヒムと抱き合って怯えていました。
王を守る兵士を集めようと外に出たフォルゲンが斃れ、上空よりリムルが舞い降ります。
その姿を見てエドマリス王は自分達が最大の過ちを犯したのだと悟りました。
新たなスキル【心無者】を獲得したリムルは、その能力でエドマリス王と大司教レイヒム以外の人間の魂を一気に刈り取ります。
そして【魔王への進化(ハーベストフェスティバル)】が始まり、猛烈な眠気に襲われるリムル。
しかし「魔力感知」によって、王と大司教以外に「心無者」の効果に抵抗して生き残った生存者がいる事が判明します。
影からランガを呼び出して自分を守って町まで戻るように指示して、生き残っている敵に関しては新たに悪魔を召喚して対処させる事にしました。
「魔法不能領域」を解除し、召喚魔法【悪魔召喚】を発動します。
召喚された三体の【上位悪魔(グレーターデーモン)】に生き残りを捕らえるよう命じると、リムルの意識は闇に飲まれるのでした。
そして、この世に新しい魔王が誕生します。
リムルの意識の深い所で、「大賢者」は自らの進化を求め始めました。
幾億もの失敗と再実行を繰り返し、あらゆる犠牲を惜しまずに挑戦を続けます。
シズから受け継いだ【変質者】を統合し、ついに【究極能力(アルティメットスキル)】である【智慧之王(ラファエル)】へと進化を果たしました。
更に進化を続け、「暴食者」は究極能力【暴食之王(ベルゼビュート)】へ。
死者の復活。
リムルの願いを叶える為に、その能力は進化していきます。
ラーゼンは一度死んだものの、ショウゴが獲得していた「生存者」のおかげで蘇る事ができました。
しかし本能的にリムルは人間では敵わない相手だと悟り、全力で気配を殺して隠れます。
ランガがスライム状に戻ったリムルを咥え、エドマリス王とレイヒム大司教を背に乗せて走り去り、後には召喚された上位悪魔が三体残されました。
ラーゼンは悪魔三体なら勝てると思い背後に回ろうとしますが、いつの間にか二体の悪魔が正面に立っている事に気付きます。
三体の中でリーダー格の悪魔がラーゼンの前に進み出て、一対一の勝負を仕掛けました。
ラーゼンは次々と攻撃を仕掛けますが掠り傷一つ負わせる事ができず、自身の目の前に立つ悪魔が通常の上位悪魔ではない事に気付きます。
リーダー格の悪魔は【原初の悪魔】と呼ばれる存在で、全悪魔の頂点に立つ伝説の存在の一柱でした。
その正体を悟ってしまったラーゼンは一瞬にして心が折れ、その場にへたり込んでしまいます。
そんなラーゼンを配下の二人に捕らえさせ、三体の悪魔達はリムルの後を追い町へと向かうのでした。
リムルの「魔王への進化」が無事に完了すると同時に、配下達の進化も始まりました。
配下達が次々と眠りに就く中、進化を終えたばかりのリムルの姿が変化し人型を取ります。
それはリムルの望みを叶える為に進化した「智慧之王」が、リムルの姿を借りて行っているものでした。
「暴食之王」によって結界ごと魔素や魂を喰らい尽くすと、蘇生の儀式を行う為に行動を開始します。
ラーゼンを捕らえた悪魔達が町に辿り着くと、グルーシスと他の住人同様に眠ってしまったランガが出迎えました。
結界が消えた事に驚いたグルーシスが広場へと戻り、悪魔達もそれを追って移動します。
広場に到着し、リムルの姿を借りた「智慧之王」が儀式を行うのを見守っていた悪魔が、遠慮がちに「儀式を行う為のエネルギーが足りないのでは?」と声をかけました。
足りないエネルギーは生命力を消費して補う、と応える「智慧之王」に悪魔は慌てて配下二体を差し出します。
その二体を吸収した「智慧之王」が儀式を再開するのを、悪魔はただ静かに見守ります。
そして奇跡とも言える死者蘇生の儀式は「智慧之王」によって静かに行われ、リムルの願いは成就するのでした。
目を覚ましたリムルは無事に蘇生したシオンに膝の上に抱き上げられ、その周囲には同じく蘇生した魔物達が跪いていました。
久しぶりのシオンの胸の感触を味わっているのも束の間、ベニマルがリムルに問いかけます。
リムルが魔王へ進化した後、理性があるかどうか確認する合言葉が決められていました。
「シオンの料理は?」
その問いに予定通り「クソ不味い」と答えようとしたリムルは、恐るべき事に気付きます。
そう、今居るのはそのシオンの腕の中なのです。
何か良い逃れ方がないか「大賢者」から進化した「智慧之王」に問います。
「”ベニマルが決めた”合言葉は「クソ不味い」だったか?ちゃんと覚えてるよ」
「智慧之王」のアドバイス通り答えるとシオンの笑顔がピタリと止まります。
焦るベニマルを前に、シオンは「満腹になるまで堪能させてあげましょう」と言い残し去っていったのでした。
ベニマルが項垂れていたのも束の間、まだ獣王国ユーラザニアの件が残っています。
三獣士のアルビス、スフィア、フォビオが獣王国の民を連れてテンペストへ避難していました。
フォビオが密かに魔王ミリムと魔王カリオンの戦いを見届けていたようです。
それによると、カリオンは魔王フレイによって討たれた事。
ミリムが一対一の戦いで卑怯な真似をするとは思えない事。
フレイが飛び去ったのが自国ではなく、魔王クレイマンの領土の方向だった事等、不審な点がいくつもあったと言います。
三獣士に対し、リムルはカリオンの救出に手を貸すと約束しました。
そして冷静さを取り戻した彼らを休ませ、もう一つの問題と向き合うのでした。
もう一つの問題、それはシオンの料理でした。
自分の料理が美味しい物だと思い込んでいる彼女の料理を、ベニマルが必死にリムルを引き留め二人で味わう事になります。
運ばれて来た料理はかなり酷い物で、シチューっぽい鍋料理の中に野菜が原型のまま入っていました。
思い切って一口食べるリムル。
何故か美味しい。
視線でベニマルに食べてみろと促し、ベニマルもまた見た目を裏切る味に驚きました。
シオンによると、リムルの進化に合わせて自分も進化した時に「料理が上手くなりたい」と願ったと言います。
そうして得たスキルが【料理人】。
どう料理しても想像した味になるというとんでもないスキルで、今回はシュナが作った料理をイメージしたと言います。
町はシオン達が無事に復活した喜びに溢れ、宴が開かれていました。
後にその宴は【テンペスト復活祭】と呼ばれ、毎年開催される事になります。
真夜中を過ぎた頃、リムルが召喚した悪魔が挨拶に来ました。
悪魔の存在をすっかり忘れていたリムルは、影から現れたランガの言葉で自分が悪魔召喚を行った事を思い出します。
「もう帰っていいよ」と言ったリムルの発言に泣きそうになる悪魔。
配下の末席に加えて欲しいという悪魔を受け入れ、【ディアブロ】と名付けます。
こうしてリムルは、何も知らないまま最強の悪魔の一柱を配下に加えました。
リムルがディアブロの正体をするのはもっと先になります。
この時リムルは「ミリムとカリオンの戦い」「ファルムス王国との戦争の後始末」「西方聖教会の動きへの牽制」などいくつも問題を抱えて悩んでいました。
翌日の会議に紹介も兼ねてディアブロも参加させ、今後の対応を考える事にします。
そして「智慧之王」からヴェルドラの開放が間近だと知らされました。
翌日、幹部の他に新顔としてディアブロやヨウム達、ユーラザニアの三獣士
他数名を加えたメンバーが会議室に集まりました。
最初にディアブロを紹介し、続いてガビルが回復薬生産の功労で幹部に昇進します。
そして魔王として名乗りを揚げる事を告げ、最初の標的としてクレイマンを狙うと宣言しました。
集まっていた者達それぞれに役割を与え、いよいよ打倒クレイマンの為に行動を開始します。
そしてついに「智慧之王」がヴェルドラを解放できるようになったと知らせてきました。
シュナにディアブロを町へ案内するよう命じ、リムルは一人で「封印の洞窟」の最奥へ向かいます。
自分の分身体をヴェルドラの依代として準備し、それを新しい肉体として与えました。
この時リムルとヴェルドラの間に【魂の回廊】が確率し、究極能力【暴風之王(ヴェルドラ)】を獲得します。
「暴風之王」はヴェルドラを召喚したり、その権能を使えるようになる物で、これによりヴェルドラは例え死んだとしてもリムルがいる限り即復活できるようになりました。
リムルの分身体に憑依したヴェルドラに合わせて、その身体は2m近い長身になり褐色の肌と金髪を持つ男性の姿に変化します。
ヴェルドラはリムルの頼みで、周囲に害を及ばさないように強大な妖気を抑えようと練習を始めました。
その間にリムルも進化して新たに得た能力を「智慧之王」によって改変し、究極能力【誓約之王(ウリエル)】を獲得します。
これはヴェルドラを封印していた勇者の能力「無限牢獄」を基礎としたもので、「誓約之王」を加えて究極能力を4つも手に入れた事になりました。
永い時を生きるヴェルドラさえ、今回リムルの進化の影響で得た究極能力しか持っていないので、その異常性が垣間見えます。
自身の強大な妖気を抑える事に成功したヴェルドラと一緒に、封印の洞窟から出るリムル。
こうして数百年ぶりに、暴風竜ヴェルドラは外の世界に解き放たれました。
二人が町に戻ると、テンペストには大混乱が生じかけていました。
ヴェルドラの開放から妖気を抑える練習に付き合っているうちにいつの間にか三日も経っていたようで、ヴェルドラの復活に気付いた者達がリムルを救出に向かうか待機するかで揉めています。
そこへヴェルドラを連れたリムルが帰ってきたという状態のようです。
人の形をとったヴェルドラを皆に紹介するとまたもや場は騒然としますが、ドライアドのトレイニーを始め、魔物達はリムルの友としてヴェルドラを受け入れていくのでした。
魔王クレイマンは自分の予定通りに物事が進まない事に腹を立てていました。
ファルムス王国の軍隊を利用して自身が【真なる魔王】へ覚醒する予定だったのが、リムルが全滅させた事でそれは叶いませんでした。
ミュウランがリムルに殺されたのを理由に宣戦布告を考えますが、進化したリムルに勝てるかどうか怪しくなっています。
そこへ魔王ミリムが魔王カリオンを一蹴し、獣王国ユーラザニアが消滅したという報告を受けてようやく笑みを浮かべます。
フレイから報告を受けたクレイマンは、次の指令を出します。
ミリムの圧倒的な力をチラつかせ、対等な立場であったはずのフレイをも手駒として利用しようと画策するクレイマン。
切り札としてミリムを手に入れた以上、他の魔王を恐れる必要がなくなっていました。
長年の宿敵であるレオン、ジュラの大森林の盟主、謎に包まれた西方聖教会と神聖法皇国ルベリオス、クレイマンの敵は大きく分けてこの三つに分かれます。
いくつかの失敗はありましたが、クレイマンは目的の達成を夢見て高らかに笑うのでした。
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